「もやい展」が啓発する、アカルイミライの歪み。小林憲明さんと会う。
2017年 07月 12日
いまだ原発をやめようとしない行政の中で、フクシマで起きた原発事故の実情や、
チェルノブイリからのメッセージと共に、家族のつながり、新しい世代への希望へと
とても感銘を受けた展示が、「もやい展」だった。
残念ながら、美術館としてはあまりに短期間だったが、なんとか最終日に訪問し
【ダキシメルオモイ】の制作作家、小林憲明さんとお会いできお話もうかがえて良かった。
小林さんとはFBでは繋がっていたが初対面・・ただ描かれている作品の家族の笑顔が
なにか懸命にエネルギーを底から絞り出している笑顔のような気がして、
実物を拝見したいと思っていた。無地の麻に工夫して描かれた作品の前で
【この子供が成長して、この絵に再び向き合うときに、絵の役目が終わる気がします】と
語った小林さん・・素晴らしいと感じた。
3.11の時、秩父は震度5弱と発表されたが、ミューズパークのように山を崩して
開発している場所は(私も大田の工業団地の地にいた)地盤が弱く
震度計は7だったそうだ。立っていられず、足元のアスファルトは海のように動いた。
家や建物が流され、目を覆う光景を報道で見てから、その年はしばらく筆が持てなかった。
しかしフクシマの深刻な被害は、津波以上に原発事故・・それも事故後の扱われ方にあると思う。
日本全国で個展を開催してきた自分としては、流されている中に自分の作品もきっとあるのでは
と感じて、【命の危険、生活の危機の中で、ただ流されるような、絵を描いていて良いのか】と
毎日自問自答し苦しかった。
自分にできることと信じ、再び絵を描き続けている。下の2枚は【祈り】【永劫】
※これは もやい展 展示ではなく、私の 311テーマで描いた各130号作品。
「もやい展」で、強烈なメッセージ・・それは除染土ではありません、人の暮らし、命が混じった土なのです・・を見た。山積みになった黒く縛られた「フレコンバッグ」。
【ふるさとは 小分けにされて 真っ黒な袋の中で 燃やされるのを待つ】は、
三原由起子さんの詩。
目に見えない故、より怖い放射線像の展示は 加賀谷雅道さん。
感銘を受けた。
打ちひしがれるような写真のなかで、救いを感じた文章が掲示されていた。
【緑 母なる地球のかさぶた】の文で
ドフトエフスキーが【白地】の中でムイシュキン公爵に語らせた
【美は世界を救う】とは このことであろうか?
私の絵も、なにか 緑のようなものであっていきたいと
願った「もやい展」でした。
by art-komoto
| 2017-07-12 23:34
| People 人との出会いは宝