人生の縁側の陽だまりで出会った素晴らしき人や関わった猫。絵画作家 香本博の 日常と制作の狭間での心の樹海


by art-komoto
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06 ミーの生きざま 2

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幼い頃飼っていた猫が交通事故で死んだトラウマから
再び猫を飼うことに私は二の足を踏んでいた。
とりあえず里親が見つかるまで預かるという条件で
その幼猫を夜に連れ帰ったのだった。

風呂場で洗面器にぬるめのお湯を作り
まず体を洗ってやった。
すると尻のあたりから血が出ているではないか!
これは病気の猫だ!感染したのだろうか!

洗い落とした液体の匂いは血ではなく
なにか覚えのあるものだった。
そうだ!焼肉のタレだ。
こいつは生ゴミと共に捨てられて
タレが付いていたのだ。

私は急に、この小さな命が可愛そうになった。
でも飼う気にはなれなかった。
その後たくさんのバスタオルで体を拭き
乾かして、ミルクを与えた。

目を離したときに畳に粗相をした。
新聞紙は置いてあったが、
飼うつもりもなく、急な展開だったので
無論ネコ用のトイレも砂もなかった。
今考えると 粗相と言うよりわからなかったのだ。
でも当時の私は、掃除しながらそのことで怒った。
猫はドアに駆け寄り外へ出たがった。

そうか、出たいのなら出れば良い。
連れ帰ってやったのに
洗って綺麗にしてやったのに・・
他が良いなら、お前の自由にしろ
そのかわり、もう入れてやらないからな!
俺は元の生活に戻れる。
...してやった
...してやる
今は最も嫌いな言葉、最も嫌いな考え方だが
当時の私は、今より醜かった。

ドアを開けるとすぐさま幼猫は出て、階段を下りた。
私は”せいせいした”という気持ちと
小さい命を見捨てたような苦い思いを感じていた。
ドアは、スニーカー片方を挟んで
完全には閉まらないようにした。

うつらうつらして
10分から15分おきくらいにドアに近寄ってみた。
ドアの近くの部屋に休んでいるかも見た。
けれど何時間も あいつは帰ってこなかった。
12時になるようになって
私は、このままドアを半開きにするのは物騒だと思った。
もうこれだけしてやったんだ
帰る気があるなら、とっくに戻っている
俺より良い人に拾われた方が、本当に飼ってくれるし
幸せだろうよ。
私は自分に言い聞かせるようにして
ドアをしめて布団の中に体を埋めた。

急に寒さから起き上がった。
寝てしまった。
思わずドアを開けた!
・・・やはりいない・・・心配する俺が馬鹿なのか。
閉めようとしたその時
ミー、ミー
か細い声が足元で聞こえた。
見上げる幼猫の鼻水は凍っていた。
2月の午前2時頃だった。

私はその猫を抱きしめた。
パジャマの胸を開けてその中に入れてやり
一生お前の世話をするよ
もう二度と出したりしないと心に決めた。

私のぬくもりの布団に入って
すやすやとその小さな命は眠った。

私はその猫に、ミーという名前を付けた
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by art-komoto | 2006-10-28 09:37 | Cat 猫 ネコとの縁 | Comments(0)